ねっとりとネット

ねっとりとこびりついた「ねっとり」をねっとりと、ネットへくっつけるネット。

『クリスチャン・ボルタンスキー Life time』国立新美術館にて。

さて、
彷徨って、死んで、彷徨って、再生する。(そして彷徨う) 

国立新美術館『クリスチャン・ボルタンスキー Life time

boltanski2019.exhibit.jp

みどころ

日本で過去最大規模の回顧展

1970年代から国際的な活動を続けてきたボルタンスキーは、日本でもこれまで「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」に参加し、継続的に作品を発表してきました。日本における個展は、これまでICA, Nagoyaと水戸芸術館(1990–91年)、および東京都庭園美術館(2016年)で開催されています。今回の展覧会は、50年間の活動をたどる、過去最大規模の回顧展となります。

 

多様な表現を紹介

ボルタンスキーは、集団や個人の記憶、そして宗教や死を主題として作品を制作してきました。その表現は多岐にわたります。1960年代後半に映像を使った創作活動を開始し、その後写真、書籍、日用品といった多様なメディアを用いた作品を展開。近年では、人々が語り継ぐことをテーマとし、形として残らない作品にも取り組んでいます。最新作を含む46点(予定)の出品作によって、その多様な作品世界をご紹介します。

 

作家自身が手がけるインスタレーション

「空間のアーティスト」と自らを形容するボルタンスキーは、「展覧会をひとつの作品のように見せる」と語っています。本展は、初期作品から最新作までを時代順に紹介するのではなく、個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして構成される予定です。会場では配布するマップを片手にご鑑賞ください。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/boltanski2019/

 

 再会をした。と云うよりも正確にクリスチャン・ボルタンスキーを認識した。
 ぼくが初めて『影』に会ったのは廃校だ。そうやって言うと怪談話の始まりのようだけれども事実の話である。去年「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」開催時、十日町市松之山にある旧東川小学校で『影の劇場』を観た。今回の国立新美術館では『影』として展示されていた。その時と同じ作品かもしれないし、別の作品かもしれない。どちらも骸骨やコウモリなどの不気味な形に切り抜かれた子供の工作のような作品に光を当てて、壁に映った影が踊る。それを窓を覗き込むように見る。ぼくにとってはほとんど同じ作品ではありながら、約10ヶ月の時間が『影』とぼくの関係性に微妙な変化を与えてはいる。 

旧東川小学校

「人間の不在」を廃校で表現した美術館。
クリスチャン・ボルタンスキー、ジャン・カルマン共作の『最後の教室』がある。

www.echigo-tsumari.jp

snow-country.jp

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「空間のアーティスト」であるクリスチャン・ボルタンスキーによって、ぼくはインスタレーション的に一度殺されたように思う。
 7歳から65歳までのボルタンスキーの顔が投影された紐状のカーテンをくぐり抜ける。この『合間に』が「死の世界」への入口だ。『幽霊の廊下』で肉体と魂が引き剥がされ、幽霊と戯れる。『影』と似てはいるんだけれども、これは別の作品である(あくまで個人的に)。「死の世界」では神話らしきものを見たり、門番と簡単な受け答えをしたり(死についての内容なので答えるのは難しい)、記憶の黒い山を迂回したり、クジラに時間の起源を聞いたりして過ごす。

 『白いモニュメント、来世』は一時的な出口である。ぼくはそこを通り抜けることで一応は蘇った。一応と云うところがポイントで、ぼくの「影」がまだそこを彷徨っているような気がするからです。

 

https://www.instagram.com/p/B0prABOnogS/

【クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime2019年6月12日(水)~9月2日(月)国立新美術館 企画展示室2E】彷徨って、死んで、彷徨って、再生する。(そして彷徨う)p.s...ボリューミー、クール、シックetcなので観覧者には男性が多かったですね。#クリスチャンボルタンスキー#クリスチャンボルタンスキー展#ライフタイム#国立新美術館

p.s...

  1. 『咳をする男』を見ている時に、おそらく小学校4年生くらいの男の子が「うぇ気持ちわり」と言って次の展示に小走りで逃げるように向かった。これはひとり(ぼっち)の明らかに病気の男が咳き込みながら大量の血を吐く映像である。確かにこれは「うぇ気持ちわり」そのものである。それにこんな風には死にたくないない。それにしてもその男の子は誰と来ていたのだろうか?小学生が夏休みだからと云ってわざわざ六本木までクリスチャン・ボルタンスキーの回顧展を見に来るかな?
  2. ボリューミー、クール、シック系なので男子が好きそうですね。そんな言い方をするのはあんまり気の利いた言い方では無いとは思うんだけれども、やっぱり世の中には男性が好きなアートと女性が好きなアートがある。それを強く意識したのは、その日に合わせって行った「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」のせいかもしれない。

 

それではお先に(失礼します)!!