ねっとりとネット

心、頭、体にねっとりとこびりついた「ねっとり」をねっとりと、ネットへくっつける。

『メスキータ』東京ステーションギャラリーにて。

さて、
「メメント・モリ」=死を忘れるな。頭蓋骨を傍らに置いた。

 

『メスキータ』東京ステーションギャラリー
メスキータの全貌を知れる日本初の展覧会。

www.ejrcf.or.jp

みどころ

木版画とドローイング

メスキータの最大の魅力は、木版画の力強い表現にあります。鋭い切れ味の線描による大胆な構成、明暗の強烈なコントラストを生かした装飾的な画面は、見る者に強い印象を与えます。アムステルダムの動物園や植物園に招来された、異国の動植物がメスキータの格好のモチーフでした。単純化された構図と明快な表現、装飾性と平面性が溶け合った画面には、しばしば日本の浮世絵版画の影響が指摘されます。一転して、ほとんど無意識の状態で浮かんでくる映像を作為なく描いたと言われるドローイングは、表現主義との親近性を感じさせるとともに、シュルレアリスムにおけるオートマティスム(自動筆記)の先駆けと言えるかもしれません。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html )

メスキータ紹介

  • サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(18681944
  • 19世紀後半から20世紀前半オランダのアーティスト。
  • ポルトガル系ユダヤ人の家庭に生まれる。
  • 画家、版画家、装飾美術の分野でデザイナー、美術学校の教師
  • 初期の作品には油絵、水彩。
    1890年以降はエッチング、リトグラフ、木版画などの様々な版画技法を試みる。
  • 教え子にだまし絵で知られるM. C. エッシャーがいる。

 

展示内容
《第1章 メスキータ紹介》

 自画像、家族や身近な人々の肖像。

《第2章 人々》
 肖像画や寓話的・象徴的な意味を持つ作品。

《第3章 自然》
 デザイン性や装飾性、幾何学性の強い斬新な作品。

《第4章 空想》
 「まったく意図していない無意識の表れ」
 シュルレアリスムのオートマティスム(自動記述)の先駆的な試み?
 現実と空想がないまぜとなった独自の作品

《第5章 ウェンディンゲン》
 ねじれを意味する「絵入総合芸術雑誌」
 その表紙を彩った多彩な表現。

 

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【メスキータ2019年6月29日(土)-8月18日(日)東京ステーショナリーギャラリー】吸い込まれる「黒」弾かれる「白」#メスキータ#メスキータ展#東京ステーショナリーギャラリー#東京駅#美術館

 今年2019年で没後75年を迎えたメスキータ。版画の技術はレイザープリンター、キンコーズ、3Dプリンターなどの印刷技術が進歩した現代社会からすると古い技術と言える。そしてメスキータの作品のモチーフに使われている当時の物もノスタルジックを通り越した歴史的な古さを感じる。しかしモチーフの掘られ方、刷られ方はどれも斬新で時代を超越した強烈な作品ばかりだ。

メスキータの作品の「強烈さ」とはなんだろうか?

 版画作品とドローイング作品の「強烈さ」は異なる。
版画作品は強烈な物がモチーフに選ばれているわけではない(強いて言うなら「メスキータの顔」は強烈なのかもしれない。でも写真の印象は優しそうな人だ)。人物、バッファロー、パイナップルなど誰でも頭に簡単に浮かぶ物ばかり。画面に複雑に配置されていたり抽象画のようになっているのでは無くて、一目すればなにが刷られているかわかる。それらのフォルムはデフォルメされることはなく、簡潔に省略される。なのにも関わらず「強烈」、これはもはや「恐怖」!(つまり「恐烈」!?笑)
デザイン性の高さや完璧に計算された構図はたまらない。

版画の魅力はモノクロの画面だ。

メスキータの「強烈さ」はまさにそのモノクロだ。
「黒」はブラックホールのようにどこまでも吸い込まれそうではあるけれども、あと一歩のところで確実に突き放される。固くて分厚いゴムがそこにあるようだ。
そして「白」。光の通り抜けられる吹き抜けのようでありながらも、鏡に反射した直射日光がこちらに向かって来る。どちらにも引きつけておいてから、そして突き放す。ツンデレの逆。「デレツン」と云うわけである。
それこそが「エッシャーが、命懸けで守った男。」たるゆえんなのではないだろうか?エッシャーの感じたであろう魅力を感じ取れた気がして少しキュンとした。それはぼくの脳裏よりも白目と黒目に直接、刷り込まれた。

ドローイング

溶けちゃいそうな暗い夢だ(ぼくがみる夢とは異なるけれども)。作品のタイトル「ファンタジー』『幻想的なイマジネーション』『グロテスクなイマジネーション』からわかるように描かれている物がすでに「強烈さ」を放っている。どれもトラウマ的な要素を感じてしまう。


p.s...

  1. ステート
    版画の制作においては、工程の段階ごとに試し刷りをして、さらに加えるべき線を検討するのが一般的。最初の試し刷りを第一ステートと呼ぶ。
    本展覧会の魅力のひとつは制作過程が見られる「ステート」が展示されていることだ。多いものでは第9ステートまであり、『メメント・モリ』『ユリ』『アヤメ』etc...は試行錯誤、削る・刷る感触が伝わってくる。
  2. 「エッシャーが、命懸けで守った男。」
    本展覧会の副題的文章。
    メスキータはナチスによって家族もろとも連れ去られ全員強制収容所で亡くなる。自宅アトリエに残されていた作品は、M.C.エッシャーら教え子たちが必死に守った。

 

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図録がオススメです。製本がイカしてます。

 

それではお先に(失礼します)!!