今月は眠気に巻かれた1箇月だった、ねむくてねむくてロクに本も読めない状態がしばし続いた
期せずして今月は思想がシンクロした1箇月になり月初から精神的にキツイ読書となった
その思想とは「フェミニズム」、女性解放思想およびこの思想に基づく社会運動の総称である
加えて、どうにも文章が頭に入らずリタイアした本もいくつかあったりで、はじめは自分の不調に
足掻いてみたものの、無理だと思ってあきらめたらラクになった
「諦める」とは「明らかに見極める」ということで、時にはあきらめるのも必要なことかと
ミチル
スペース・コインランドリー図書室
10月号
< フェミニズムと17と三大欲求の部分的な喪失 ― そこに残ったのは、性欲。 >
10月のシンクロナイズドリーディング(synchronized reading)のシンクロ・ポイントは、3つ。
シンクロナイズドリーディング(synchronized reading)
についてはこちら▼
その1 「 フェミニズム 」
まずは、
『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ
韓国における女性の立ち位置や扱いが書かれている。
国は違えど多かれ少なかれ思い当たることがあり読むのがしんどい内容だった。時の流れとともに意識や社会も変わってゆくだろうけれど埋めがたい溝は決して無くなることはないのだろう。
そして、
『森があふれる』 彩瀬まる
夫の浮気を知った年若い妻が多量の植物の種を飲み込み、発芽する。
人の心が森だとしたら人の数だけ森が存在する。日々の中では身近にいる誰かの森は勿論、自分の森の奥深くまでのぞき込むことはなかなかない。そんな機会が訪れたなら他人の森へも自分の森へも臆さず分け入りたい。心と体は密に繋がっている。ある本を他の本で例えるのはどうかと思いつつも、「臣女」(吉村萬壱:著)ではじまり気づけば「82年生まれ、キム・ジヨン」で終わるような読み心地。
最後は、
『マドンナの言葉』 山口路子
クイーン・オブ・ポップであり続けるマドンナの数々の言葉。
とにかく彼女は生きて、闘い抜いている。同じ時代を生きていることを幸せに思いたい。
「私は男性支配的な世界と闘ってきたけれど、女性支配に変えようと思ったことはない。自分が自由に生きるために闘ってきたの。男性を敵だと思ったことはない。私が自由に生きるのをおさえつけようとする人たちこそ、敵なのよ」
とマドンナは言う。
その2 「 17 」
『セミ』 ショーン・タン
17年間灰色の人間世界で虐げられ続けたセミの鮮やかな緋色への変化(ヘンゲ)。
わらいが とまらない。トゥク トゥク トゥク!
『ねむり』 村上春樹 (著)、カット・メンシック (イラスト)
眠れなくなって17日めになる。
夜の十時から朝の六時までの自由な世界と印象的なイラストと不穏な結末。
その3 「 三大欲求の部分的な喪失 」
前出の『ねむり』 村上春樹 (著)、カット・メンシック (イラスト)
『わたしが少女型ロボットだったころ』 石川宏千花
自分が少女型ロボットだったことを思い出し、食べることをやめた摂食障害の少女の話。児童文学。
睡眠を手放した女性と、食欲を手放した少女。三大欲求を睡眠欲・食欲・性欲と定義するならば、そこに残ったのは、性欲。
10月の図書
- 『母の日記』 秋川リサ
ソリが会わない実の母娘の認知症介護の日々と母が隠して書いていた悪口ばかりの日記の話。 - 『ずっと喪』 洛田二十日
21編の作品集。まず、タイトルが秀逸! 表題作は映像でも見てみたい。「下戸の憂い」「強そうなホームレスを探す」「義師」なども印象深い。 - 『女子漂流』 中村うさぎ、三浦しをん
ベクトルは違えど中村うさぎと三浦しをんの突き抜け方に清々しさを感じる。 - 『エアマスター 8』 柴田ヨクサル
- 『なりすまし』 Team-J
ある日ツイッター上に多数のフォロワーを持つ自分の「なりすまし」が登場し、リアルとネットの間で翻弄される冴えないサラリーマンを描いたネット・サスペンス。 - 『魔弾の射手 :天久鷹生の事件カルテ』 知念実希人
こんなフェインティング・ゴートのような症状があるとは驚き。ある意味これも生命の神秘?
そのうち読み直したいリタイア本
そして、11月へ
実りの秋がやってくる
今回のスペース・コインランドリー図書室
『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ
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『ねむり』 村上春樹 (著)、カット・メンシック (イラスト)
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a writer:ミチル
属性:Sexually fluid
白玉という名の猫を妄想で飼っている
▼ Written by MICHIRU▼