さて、
町の記憶と淡い郷愁。
新美の巨人たち
鏑木清方「築地明石町」ほか
<Art Traveler>酒井美紀
傑作は幻の三部作
鏑木清方『新高町』『浜町海岸』『築地明石町』
- 173.5cm×74.0cm
- 絹本彩色の掛軸、三枚セット
- 44年間、所在不明だった
(作品の状態良し) - 2018年発見
- 5億4千万円
線の緻密さ、繊細さ。透き通るような肌が特徴です。
明治の女性の姿か柔らかな存在感を出しています。
掛軸にはそれぞれ女性が描かれています。
『新高町』:雨に降られた江戸前の芸者
『浜町海岸』:踊りの稽古の帰りの町娘
『築地明石町』:朝靄の中に佇む女性
その中でも『築地明石町』は人間臭い顔立になっています。
- 目元は涙堂(涙袋)がうっすらと引かれている。
- 着物に浮かぶ江戸小紋(パッと見ただけでは無地にも見えなくはない)。
- アサガオのしおれて元気が無い、地面に落ちたつぼみ。近づく秋。
- 肌寒い?腕を抱えています。
- 金の指輪。
- 草履の上で力の入る足先の親指
- 振り返る。一体なにを見ているのか?誰かに呼ばれたのか?
女性の色気を醸し出す妖艶な雰囲気もあります。歳月を重ねた美しさ。憂いと陰り。
『築地明石町』が他の2枚と決定的に異なるのは「モデルをスケッチしている」ことです。
モデルの美女はだれ?
江本写真館@銀座8丁目の江本ませ子。
清方の妻のクラスメイトでした。
築地界隈〜明治時代の変化を絵の中に納めた。
町の記憶と淡い郷愁。
潜む超絶技法
研ぎ澄まされた究極の筆づかい。
- 輪郭を描く
下絵の上に絹を被せ、筆でなぞる。
細く均一に、毛先ほどの微細な線を引く。 - 肌を描く
胡粉(Gofun:日本画で用いる、貝がらを焼いて作った白色の顔料)という白い絵の具に黄土と朱(ほんの少し)混ぜた「肉色(Nikusiki)」を使用。
薄く、透明感を保つように塗る。そして丁寧に薄い色彩を何度も塗り重ね、生きた肌を作る。 - 髪を描く
墨に少量の胡粉を混ぜら「具墨(Guzumi)」を使用。少量の白を混ぜることにより髪が持っている、ふっくらとした抵抗感のようなものを表現する。
濃く塗った墨を水筆で引き伸ばしグラデーションを作る。何度も塗り重ね、ふくらみ、柔らかさを出し、表情を与える。 - 仕上げ
薄い朱を肌に塗り、陰影をつける。
命を吹き込み、血肉を通わせる。
着色によって薄くなった輪郭を引き直す。
鏑木清方
- 明治11年生まれ
- 幼少期を銀座の東側
- 今は埋め立てられている築地川
- 外国人居留地である明石町
-
清方の仕事
起床は7〜8時。着物に着替え、枕元に置いてある板前にように前垂を締める。「製作は朝の間が一番いい」 -
代表作のひとつ『朝涼』
鏑木清方の言葉
「築地川の周辺に私は人となったので従って
この水域に寄せる愛着はなみなみならぬものがある」
「築地の海は雲母色の靄
深く立ち込めて 朝冷えは膚に沁む
袖をかき合わせて ふとかえり見る
いぎりす巻の女性の瞳に澄むや〇火」
(〇が分からん!!自分のバカ!!!)
雲母(Unmo)
【絵の中の女性を再現】
— 新美の巨人たち (@binokyojintachi) 2019年11月27日
朝もやにたたずむ
一重の着物に黒い羽織姿の女性#酒井美紀 さんに描かれた女性の装いに変身してもらうと、
特徴的な髪型や着物の着こなしに、時代の雰囲気が凝縮されていることがわかりました✨#鏑木清方「#築地明石町」
今週11/30(土)よる10時#テレビ東京 系列にて放送 pic.twitter.com/9MIVfr1PBe
『築地明石町』に詰め込まれた「明治の女性の風俗」
- 着物:素袷(Suawase)
生キモノ。 - 羽織:当時流行していた長めのもの
羽織にも流行がある。 - 髪型:イギリス巻
別名、夜会巻。
三つ編みを3本作り、それをくるくるまとめる。
和服・洋服どちらにも合わせやすいため明治の中頃に流行った。
other
end...
それではお先に(失礼します)!!
天貫勇
ヌキノートは、文化的オムニボア・ボヘミアンブロガーの天貫勇の超個人的な記録ブログです。
書かれていることの信憑性・精度は保証できませんので、ある意味フィクションだと思って読んで頂けると助かります(特にテレビ番組のブログですと、殴り書きのノートをもとに、自分で書いときながら読めなくなった肉筆を解読してブログを書いていますので怪しい情報だらけです)。
誤りはなるべく訂正したいので間違いっている箇所があれば優しく教えて頂けると有り難いです。