さて、
止まらない「てちロス」と「2020年1月23日までの欅坂46ロス」。
アンディ・ウォーホルが現代に蘇って、シルクスクリーンの作品を相変わらず作るとする。彼はマリリン・モンローの顔ではなく『平手友梨奈(以下平手、てち)』の作品を大量に刷るだろう。
平手友梨奈とは現代のポップアイコンだ。
『脱退』というワードを使っただけで世間をざわつかせ、物議を交わさせる。
欅坂46は1枚目シングル『サイレントマジョリティー(以下サイマジョ)』デビュー。
アイドルになる前は普通の女の子だった--声を上げない多数派のひとりだったー彼女たちが大人や体制に、正面から立ち向かう反骨心を歌った。
これは今までの「アイドル=可愛い」のイメージを壊し、「欅坂46=クルーでかっこいい」。さらには曲解して「笑わないアイドル」として世間に知られるようになる。
最年少の平手がセンターだったこともあり、そのイメージは鮮烈だった。
2枚目シングル『世界には愛しかない(以下せか愛)』はアイドル曲だ。しかし非アイドルのイメージは覆されることはなかった。
『せか愛』では青春の揺らぐアイデンティティーやリアリティを夏の季節感と共に歌う。歌詞の朗読、傘を使ったの振り付け、風車が回る広い草原でのMVが印象的。アイドルらしい可愛さがあるが、他のアイドルにはない「自由さ」「開放感」そして「葛藤」があるのがやはり欅坂46らしさ。
3枚目シングル『二人セゾン(以下セゾン)』。
ヒルクライム的なセゾン(=フランス語:季節)の歌。
MVの時期や衣装の赤紫色が紅葉をイメージさせるので、秋から冬の歌に感じる。過ぎ去っていく時間と、そこにあった(そして心に残っている)二人の記憶。繊細な息づかいがバレエ調のダンスで紡がれる。
正直『セゾン』でもメンバーは笑っている。
神曲降臨
しかし4枚目シングル『不協和音』の出現によって「笑わないアイドル」のキャッチコピーは不動のものとなる。
『不協和音』は『サイマジョ』を彷彿とさせながらも、より強いメッセージ性が乗った電子音は今までのアイドルの固定概念を完全に壊した(筆者はこの『不協和音』からどっぷりと欅坂46漬けになる)。
2017年2回目の出場となる紅白歌合戦で『不協和音』を披露。パフォーマンス後、数名のメンバーが過呼吸などの症状でぶっ倒れてしまう。これ以来『不協和音』は唱えてはいけない禁呪のように魔曲になる。そして神曲化する。
5枚目『風に吹かれても(以下風吹か)』
恋愛の息苦しさを軽やかに歌い、流れに身を任せるのも悪くないよね?と開放的。
ビシッと決めたスーツの衣装が女性ファンを増やしました。この曲で全メンバーがフロントポジションを経験した重要な曲。
6枚目『アンビバレント(以下アンビバ)』
相反する感情を激しく強くカッコよくネオコンテンポラリーダンスで爆発させる。
ライブでも盛り上がる曲で『サイマジョ』原点回帰な核ソング。
欅坂46のパフォーマンスを生み出している影には振り付けに世界的ダンサー:TAKAHIRO先生がいらっしゃるからだ。全曲の振り付け(多分演出も)担当されている。世界的ダンサーが振り付けに入っているのも欅坂46の斬新さです。
7枚目『ガラスを割れ!(以下ガラス)』
『サイマジョ』『不協和音』のメッセージ性をロックにアレンジ。
それぞれのシングルのカップリング曲が表題曲並みに愛されるのも魅力だ。
『ガラス』のカップリング曲は『もう森に帰ろうか?』
観れば分かる。
8枚目『黒い羊(以下黒羊:クロヒツ)』
これはもはや「曲」なのか?ひとつのストーリーを見せられる。集団から爪弾きにされる僕を黒い羊に重ねて表現。欅坂46の曲の中では異質で「弱音」が入っている。
平手友梨奈の欅坂46・脱退のニュースを読んだ時、おあずけ食らっていた9枚目シングルのタイトルが『脱退』なのか!?と思った。
それほど『脱退』というワードには欅坂46らしさ、平手らしさを感じてしまった。
しかし、それだけではなく他メンバーの織田奈那、鈴本美愉の卒業。佐藤詩織の活動を一時休止(織田奈那:以下オダナナ、鈴本美愉:以下もんちゃん。佐藤詩織:以下しーちゃん)。
織田奈那、佐藤詩織、鈴本美愉、平手友梨奈に関しまして | ニュース | 欅坂46公式サイト
カッチーンと体が固まってしまう。
頭の中では2019年年末の歌番組--紅白『不協和音』、Mステ『クロヒツ』・平手ソロ曲『角を曲がる(以下角曲が)』ーが映像として音楽としてフラッシュバックされる。
そうさ僕だけがいなくなればいいんだ(クロヒツ)
一人きりで角を曲がる(角曲が)
僕は嫌だ(不協和音)
歌詞が頭を割る。
それらの言葉は秘めたメッセージだったのではないか?欅坂46の遺書のような。
欅坂46の第一章は完全に終わった。
もう、あのメンバーが揃ったパフォーマンス、冠番組『欅って書けない?(以下けやかけ)』を見ることは無いんだ、できないんだ。
(ここ半年以上は全メンバーが揃ったところはそもそも観れていない)
筆者の欅坂46の思い出が突沸する(この言い方は気持ち悪いですね、すいません)。
- 3度も参加できている富士急ハイランドでの野外ライブ『欅共和国』。
- 奇跡的に参加できた夏の全国アリーナツアー2019東京ドーム追加公演の東京ドーム1日目。
- 人生初めて行った握手会for尾関in幕張。
etc...アイドルなんかにハマったことなかったのに。
2019年は変化が激しく、欅坂46の一章が終わった。と言えるポイントは何度もあった。
- 2期生の加入。
- 長濱ねる卒業・引退(?)。
- 9枚目シングルから選抜制が導入。
etc...
しかしそれは始まりに過ぎなかった。グラグラと余震はずっと続いていた。
2020年1月23日木曜日こそが欅坂46の第一章が幕を閉じた日だ。
(筆者超個人的には、2010年9月に漫画『ONE PIECE(以下ワンピ)』の第1章が終了し、約1ヶ月の休載が決まった時の衝撃に近かった(≒)。あと『ワンピ』で言うとエースが死んでしまった時)
(筆者は衝撃から直近の親しい友人に『「卒業」と「脱退」の違いは?』と深夜にLINEしてしまったそこ言葉に含まれている何かについては自分なりに答えというか方向性みたいなものは見えていたが、不安と何かしらの救いを求めていた)
「卒業」と「脱退」の違いは?
平手だけが「脱退」だからと言って深読みする必要はない。
彼女はただグループを抜けたのだ。卒業だろうと、脱退だろうと欅坂46からいなくなったのはかわらない。
けれども深読みしてしまうのは「脱退」の言葉が持っているグレーさシャープさだ。
そこに含まれる不円満、クビetc...。
そもそも『卒業』の言葉はそういったイメージを隠蔽するために使われるようになったアイドル用語だと思う。特に女性アイドル特有の表現だ。グループや男性アイドルーーEXILE、ジャニーズーではあまり言わない。
さらに秋元康プロデュースである48グループ、46グループで頻繁に使われる(むしろ脱退は聞かな)。これは頻繁に『48・46グループ』が学校に例えられるところ、夢へのアプローチへの一つのプロセスとして扱われる点にあるだろう。
しかし今回の平手の場合はどう考えても脱退だ。
なぜなら選抜され発売が予定されていた9枚目シングルのセンターに彼女はいないからだ。もし仮に9枚目シングルを最後にグループを去ることにしていたら、卒業と発表していたかもしれない。
そもそも『卒業』と言って、事実を隠蔽する必要性がどこにあるのだろうか?
そんな訴えにも受け取れる。
(卒業=「on」、脱退=「out」とも言える)
*
脱退の原因
(好き勝手言います。欅坂46というコンテンツのパッケージをおかりします。真実は本人達にしか分かりません。いつか語ってくれるかもしれないし、語ることはないかもしれない。筆者にとっては真実はどうでもいい)
平手がセンター以外のポジションでパフォーマンスする姿が想像できるだろうか?
センターに立っていない彼女の姿を想像できるか?
今まで、欅坂46ではセンターは平手であって、平手はセンターだった。
欅坂46、そして平手はセンターに彼女を立たせ続けるしかなかった。
そんな硬直した状況だった。
それは以前から危険視されていた「欅坂46の弱点」でした。
どんどん神格化され重圧がかかる平手一本体制。
パフォーマンスの過酷さ。
そもそも不器用なメンバーが多かったのではないか?
「平手がセンターではなくなる」その時がついに来てしまったのだ。
それが時期や急展開によって混乱してしまった。
運営は平手に追いつけなくなった。グループは平手から卒業するしかなかった。
平手は独立した。優秀な社員が起業をして独立するかのように。
キャンベルのトマトスープのようにコピペされ大量生産大量消費されるのを彼女は拒んだ。
2019年の東京ドームでの『不協和音』の復活、『角曲が』の披露で今後を楽しみにしていただけに 、止まらない「てちロス」と「2020年1月23日までの欅坂46ロス」。
今まで欅坂46の姿を見せてくれてありがとうございました。
今後もアイドル・芸能活動を続けるようでしたら引き続き応援させていただきます。
卒業したオダナナ、すずもんありがとうございました。
しーちゃんの戻りを待っています。
*
今後の欅坂46はどうなるのだろうか?
ゼロからのスタートだと言える。
そのうちに3期生が入ってくるだろう。
9枚目シングルはどうなるだろう?
欅坂46は常に危なっかしい。それが最大の魅力だ。
欅坂46第二章はまだ始まっていない。今はただの空白。賢者タイム。
どんなグループになるかは誰にも分からない。
しかし、どんな風にこれから前進して行くのかは分かる。
それは今までにリリースされている曲達が教えてくれる。
end...
それではお先に(失礼します)。
天貫勇