明るい部屋の小さな画面で一人気ままに観る映画はどこか海水に似ている。
難破して干上がって止むに止まれず飲んだ海水でさらに喉の渇きがひどくなる。潤うことのない渇望を求めるように、観れば観るほど気が急いて次の作品に手を出したくなる。そんな心持ちで2020年10月に観た12作品。
ミチル
- <海水>
- 気になりつつも見逃していた『アンダーワールド』、『ランナウェイズ』、『ゆれる人魚』。
- 思わず観られたジェイソン・ステイサム主演作品。来月もどんな映画に巡り合えるか楽しみ。
- ▼ Written by MICHIRU:過去記事▼
- Written by ISAMU <パラサイト・コインパーキング編集部>
スペース・コインランドリー視聴覚室
<海水>
(1990年/アメリカ)
人間の恐怖心を煽り弱さに付け込む不気味なピエロ、ペニーワイズに翻弄される人々の姿。
スティーヴン・キングの小説を映画化。子供時代のトラウマを仲間たちと共に乗り越える成長譚と見えなくもないけれど、これは紛れもないホラー映画。ペニーワイズが出現するサイクルがおよそ27年から30年。12歳のビル・デンブロウ役を演じたジョナサン・ブランディスが亡くなったのが27歳。この数字の一致に何かを感じるか感じないかは、あなた次第。
(2006年/日本)
都市伝説に憑かれたカメラマンとその恋人のテレビ局レポーター。普通の人々の中に潜む狂気。
諸星大二郎の短編漫画を映画化。壁の中には人間でも妖怪でもない「壁男」というものが住んでいるという噂が街に広まるにつれ、人々に思わぬ影響が出始める。ホラーというか、壁と夢とは紙一重。
(2003年/アメリカ)
何百年にわたって続くヴァンパイアとライカンの壮絶な闘い。純血種の保持と融合の禁忌。
吸血鬼と狼男族(ライカン)の殺し合いは基本、銃器。長年の戦いの様相を変えそうな人間の青年の出現とか主人公(ライカンを殲滅させるヴァンパイアの女処刑人)の知られざる過去とか。憎しみからは何も生まれない。ライカン側の医師役を『アングスト』のあの人が演じている。
(2003年/韓国)
田舎の家に帰ってきた姉妹と継母との確執、崩壊してゆく家族を描いたホラーサスペンス。
韓国の古典怪談である『薔花紅蓮伝』をベースに映画化。禍々しき事々が家由来なのか人由来なのか謎が多い。加えてデバイスの問題かと思われるけれど、暗闇のシーンでは画面の明るさをMAXにしても何が起こっているのかあまりよくわからず(笑)。田舎の家が立派で『パラサイト』の豪邸を思い出す。
(2008年/イギリス)
1971年にロンドンで実際に起こった銀行強盗事件(Baker Street robbery)がモデル。
裏社会から足を洗った男の元に届く銀行の貸金庫強盗の依頼。話に乗り、かつての仲間たちとともに行った貸金庫強盗は上手くいったかに見えたのだが、その根底には思わぬ陰謀が。そしてその盗難物の性質から別の組織にも追われる羽目に。銀行員役でミック・ジャガーが出演(ノンクレジット)。ジェイソン・ステイサム主演。今月はジェイソン・ステイサム祭りの予感。
▼ジェイソン・ステイサムのinstagram▼
https://www.instagram.com/jasonstatham/?hl=ja
▼ジェイソン・ステイサム主演『MEG ザ・モンスター』▼
(2010年/アメリカ)
1970年代後半に活動したアメリカのガールズロックバンド「ザ・ランナウェイズ」の伝記映画。
原作は同バンドのヴォーカリストだったシェリー・カーリー著『ネオン・エンジェル』。ここで描かれている未成年者を取り巻く状況やクスリ事情などを見ていると、日本でああいう音楽が生まれないのも分かる気がする。とにかくギタリストのジョーン・ジェットの完成度が素晴らしい。終盤のピンクのジャケットを着たラジオ局のシーンは一瞬、本人かと思った。プロデューサー・キムがだんだんJ.Y.PARKに見えてくる(笑)
Neon Angel: A Memoir of a Runaway (English Edition)
- 作者:Currie, Cherie,O'Neill, Tony
- 発売日: 2010/03/30
- メディア: Kindle版
박진영 (J.Y. Park) "When We Disco (Duet with 선미)" M/V
(2011年/アメリカ)
ロシアンマフィア、中国マフィア、悪徳警察官、三つ巴の大乱闘映画。
汚職を告発しようとしてニューヨーク市警をクビになり八百長格闘技で生計を立てていた男がある日しくじりマフィアに妻を殺される。全てを失いホームレスになった男が妻を殺したのと同じマフィアに追われる少女を目撃し、助けたことから事態が大きく動き出す。この映画だけでいったい何発の銃弾を消費したんだろうかというくらい、とにかく撃って撃って撃ちまくる。派手なアクション、カーチェイス、観終えるころには気分スッキリ。ジェイソン・ステイサム主演。
(2018年/カナダ)
原題は『Octavio Is Dead!』。オクタヴィオは主人公の死んだ父親の名前。
情緒不安定な母親とともに暮らしていた娘の元に、会ったこともない父親の死の知らせが届く。自分を押し殺しながら生きてきた彼女は父親を知る旅に出る。生前の父親を知るため男装して暮らし始めた彼女を待ち受けていたのは、数々の奇妙な出来事と性にまつわる衝撃的な体験だった。女性としても男性としてもステキに見える主人公を演じたサラ・ガドンは黒髪の方が似合う気がする。
(2012年/ニュージーランド)
ブラックでスプラッターなカニバルホラー・コメディ映画。
護送車から脱走したギャングたちの人質となった、高級住宅地に住む一家。だが彼らは人肉を食べる異質な人々だった!異質な家族が反撃開始!ギャングたちは彼らの晩餐の食材になってしまうのか?ギャングの紅一点が逆さ吊りされているシーンがちょいちょいあり、彼女の首の血管がやたら気になる。人質家族(父母姉弟)の姉とギャングの紅一点のガールズ・ラブロマンスもあり、盛り沢山!
(2015年/ポーランド)
水陸両用で活動できる人魚姉妹・シルバーとゴールデンや人間たちの愛とか恋とか欲望とか。
単純な疑問。
- この子(人魚)たちは海水でも淡水でも平気なのだろうか?
- 双子じゃなさそうだけど姉がシルバーで妹がゴールデンって名前、日本だと金さん銀さんて名付け順になりそうだけど、ヨーロッパだと感覚違うのかしら?メダルの金銀銅って概念はグローバルスタンダードじゃない?
- セイレーン=歌声で人を惑わすってことで歌が多め?それともポーランド映画の作風とか?
……まあ、いいのだけど(笑)。好みの感じの映像で、特にシュールでダイナミックな手術シーンが忘れがたい。
(2015年/日本)
小池真理子の半自伝的恋愛小説『無伴奏』を映画化。
恋愛、青春期のエネルギー、学園紛争。1969年の仙台が舞台。実際には仙台ではないらしいけれど、度々出てくる竹林が素晴らしい。そして主人公の男女(成海璃子と池松壮亮)の絡みのシーンが不自然でそればかりが印象に残る。あれならまだ下着くらい着せといた方がよかったのでは。
(2011年/アメリカ)
元SAS隊員で探検家のラナルフ・ファインズの自伝的冒険小説『The Feather Men』を映画化。
原作タイトルのフェザー・メンとは国家レベルの秘密組織で、SASは英国特殊部隊のこと。著者自身が暗殺されかけたエピソードを元にした実話がベースのアクション・サスペンス。ジェイソン・ステイサム等のCGなしの本格アクションの数々が素晴らしい!し、歳を重ねたデ・ニーロも渋くてよい。
気になりつつも見逃していた『アンダーワールド』、『ランナウェイズ』、『ゆれる人魚』。
思わず観られたジェイソン・ステイサム主演作品。来月もどんな映画に巡り合えるか楽しみ。
finish
▼筆者紹介▼
- a writer:ミチル
- 属性:Sexually fluid
- ペット:白玉という名の猫を妄想で飼っている
▼ Written by MICHIRU:過去記事▼
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Written by ISAMU <パラサイト・コインパーキング編集部>
記事の執筆ありがとうございました。
ジョナサン・ブランディスが27歳で亡くなってたのは知りませんでした。悲しい。やはり27には魔力があります。
僕は25歳くらいからペニーワイズに取り憑かれたようにヒリヒリとした危うい時期を過ごしました。もしくは社会的蛹状態でした。ミチルさんと出会った時には危うい状態だったわけです。もし出会えていなかったら今の自分はどんな状態だろうか?とゾッとします(22~25歳くらいもなかなかヤバかったかな?笑)。
27歳は数々の天才たちが歩みを止めた年齢なので、僕にとってもきっと大切な年齢だと思っていました(自意識過剰?)。それに28歳までにはなにか自分なりに掴み取りたいと思ってはいました。しかしそれに対して焦れない自分に焦ったり。。。笑
うだうだと確実に2年間は時間を擦り潰しました。
今は無事28歳になりました。気持ちもスッキリしています。方針がさだまり、友人関係などの環境も整いました。
とは言え、ペニーワイズが潜んでいそうな真っ暗な下水道を彷徨っています。けれど今は懐中電灯を持てているような状態です。
27年後には素敵なペニーワイズに会えるように行動したいです。
今後もよろしくお願い申し上げます。
ぬっきー