サモサ(本格的なものからスーパーマーケットのお惣菜まで)を食べながらモササウルスのことを思う、2021年4月の映画感想。
ミチル
スペース・コインランドリー視聴覚室
< 強大な雌と希望の光 >
今回のシンクロ・ポイントは以下の2つ。
- 強大なのは大抵、雌
- 最後に見える希望の光
【強大なのは大抵、雌】
生物ではいくつも例があることではあるけれど、ここに出てくる雌たちは並外れて大きく、強い。
『シャークトパス VS プテラクーダ』/『ザ・クロコダイル ~人食いワニ襲来~』/『マーメイドNYMPH』。マーメイドは巨大ではないけれど、特殊能力を有していて手強い。ゴジラもエイリアンも産卵した過去を持つらしいし(彼らが全シリーズ同じ個体かは不明ながら)、上記の映画に出てくる人造ザメも巨大ワニも産卵しては蘇り、人びとを脅かし続けるし、マーメイドにおいては姉妹たちが群れになって仇討ちにやってくる。
ぬ「生物って雌の方が強いんですよね。カマキリの雄は交尾後に雌に食べられちゃうらしい。」
【最後に見える希望の光】
『マッスル 踊る稲妻』/『ワイルドカード』
前者は毒を盛られて損なった健康や容姿からの(毒を盛られての変化も、その報復方法もなかなかスゴい)、後者は依存症やプレッシャーからの脱却を示唆するエンディングに観ている方も救われる気持ちになる。
以下、映画感想(観た順)。
『バトルフロント』 (2013年/アメリカ)
チャック・ローガンの犯罪小説『Homefront』の映画化。脚本:シルヴェスター・スタローン。
ジェイソン・ステイサム主演。亡き妻の故郷に移り住み幸せに暮らす元麻薬潜入捜査官とその娘。新参者に厳しい南部で地元のごろつきに目を付けられいざこざに巻き込まれる父と娘。父も娘も武闘派で強い。娘の学校のいじめっ子男児とその狂犬のような母親がまともになってゆく姿にホッとする。
ぬ「『その狂犬のような母親』は【強大な雌】?」
『アデル、ブルーは熱い色』 (2013年/フランス)
ジュリー・マロのグラフィックノベル『ブルーは熱い色』を原作とした映画。
とはいえ、映画の原題は、La vie d'Adele/Blue is the Warmest Color(「アデルの人生」がメインタイトル)。なので原作とはかなり様子が違っているのでは、と思われる。
道ですれ違ったブルーの髪の美大生エマ(レズビアン)に一瞬で心を奪われる高校生のアデル(バイセクシュアル)。タイトルの通りアデルの側からの眺め。
アデルはいつも口が半開きでよく鼻を垂らし、多くの時は無表情で髪を束ねたり解いたりが鬱陶しい。「『アデル、ブルーは熱い色』について知っておくべき13のこと」(https://ciatr.jp/topics/185812)というサイトでいくつかの違和感の謎が解けた感じも。
ぬ「アデルはバイだったとは。こりゃぁ、限りなく早いとこ必観の映画です」
『シャークトパス VS プテラクーダ』 (2014年/アメリカ)
舞う!襲う!!喰らう!!! 米海軍が産み出した合体生物兵器が、まさかの対決!!
シャークトパス≪サメ+タコ≫ VS プテラクーダ≪翼竜(プテラノドン)+ 魚(バラクーダ)≫、史上最狂のハイブリッド・モンスター決戦の火蓋がきって落とされる。
ちなみにバラクーダとはカマスの最大種オニカマスのこと。シャークトパスシリーズの第2作目らしい。
ぬ「『シャークトパス』を考えた人と会いたい。馬鹿馬鹿しすぎて天才だと思う」
『マーメイド NYMPH』 (2014年/セルビア)
伝説の島に隠された、美しくも残酷な人魚伝説。スリルと戦慄のダーク・ファンタジー。
アメリカから来た旅行者たちが訪れた地中海の謎の孤島で、井戸に監禁されている女性を発見。監禁者の攻撃をかいくぐり彼女を救出しようとするのだが…。セルビアの映画って初めて観たと思う。第一形態の時の人魚(ゾラーナ・コスチック・オブラドヴィッチ)がセクシー。
ぬ「確かにセルビア映画って観たことないかも。内容的にもダークでセクシーで、かなり気になる映画。そもそもセルビアと聞いてイメージがわかない。笑」
『ザ・クロコダイル ~人食いワニ襲来~』 (2012年/中国)
ワニ園の経営が破綻し、食材として売られたワニたち。次々と仲間を殺された巨大ワニの復讐劇。
機敏に茶畑を疾走する巨大ワニなんて初めて見た。シュール! 今やゾンビも走れば巨大ワニも走る時代。個人的に密かに夢でもある(実際には絶対しないけれども)大きな川(や湖)にワニを放ってのびのびと生を全うしてもらう、というのが叶いそうなラスト。
ぬ「中国の映画だったんだ。なんか中国で現実に起こりそうなストーリー。観たいけど、観るか悩む作品。けど『時間の無駄だった』と思う映画をより多く観たかで人生はより豊かになると思う」
『ホラー★シネマ★パラダイス』 (2010年/アメリカ)
父親が遺した映画館を存続させようと必死な娘を含めたサイコパス・カンパニーの活躍(?)。
原題:All About Evil。おそらく原題は「イブの総て( All About Eve )」のパロディで、邦題は「ニュー・シネマ・パラダイス」のパロディなのでしょうね。どちらも上手いと思う。激情にかられ母親を惨殺、それを劇場の大スクリーンで流してしまった娘が見たのは、殺人映像に熱狂する観客たちの姿。ここから娘とその仲間たちの暴走が始まる。双子姉妹の殺し合いのシーンが印象的。
ぬ「『イブの総て』を観てみよう。笑」
『マッスル 踊る稲妻』 (2015年/インド)
「ロボット」のシャンカール監督によるインド製エンタテインメント。3時間超の大作。
踊って歌って戦いもする。その身体能力の凄まじさ。だけどなぜか(インド映画では定番なの?)食事シーンはほぼ皆無。ある意味、期待してたのだけど。ストーリーは男性版シンデレラ+グリム童話的とでもいうか。希望の見えるラスト。愛の力は偉大なり。
ぬ「『ロボット』は観たので、こちらにも手を伸ばそうとは常々思ってはいる。しかし3時間の壁に立ち向かえず。タイトルとメインビジュアルが魅力的なんだもの。(別件:サモサくらい食べてても良さそうだけども)」
『ワイルドカード』 (2014年/アメリカ)
ラスベガスの裏社会で用心棒を生業とする元エリート兵の男に元恋人からの復讐依頼が舞い込む。
コーヒースプーンとバターナイフで複数の人間を殺し、ギャンブル中毒のジェイソン・ステイサムが見られる。依頼された復讐は易々と成功するものの、黒幕のマフィアに命を狙われ追われる事態に。彼に接近してくる謎の若者(実は、IT長者)との交流と別れに互いの人生への希望が見て取れる。
『25日・最初の日』 (1968年/ソ連)
「アート・アニメーションの神様」ユーリー・ノルシュテインのデビュー作。
1920年代のロシア・アバンギャルドアートに着想を得て、ロシア革命で権力者たちが怒れる民衆に打ち倒される姿を鮮烈に描き出す。ロシアからソ連へ、そして再びロシアへと国名が変わったソ連。今のロシアの人々はどんな気持ちでこれを観るのだろう。
ぬ「これは絶対に観ないといけない作品だ。勉強不足でした。ブルース・ビックフォード氏などカルト的な巨匠のエッセンスは定期的に摂取しなくては」
そういえば、以前目にした海の支配者モササウルスの映像も全長13㍍の強大な雌だった。
海や大きな川や湖を見るたび今でも人間には及びもつかないモノが棲んでいるだろうと思っている。
finish
▼筆者紹介▼
- a writer:ミチル
- 属性:Sexually fluid
- ペット:白玉という名の猫を妄想で飼っている
▼ Written by MICHIRU:過去記事▼
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Written by NUKKI <パラサイト・コインパーキング編集部>
記事の掲載ありがとうございました!
そそられる作品が多かった今月。お気に入りの肥やしが日に日に増えています。
映画館に行く頻度が少なくなっています。そのせいか分かりませんが、2021年は今の所、世間的ヒットしている映画か無いように感じられます。近年だと『鬼滅の刃』、『パラサイト』とかありましたけど。
そう思うと2020年は映画撮影自体が難しかっただろうから、今後数年は世に送り出される作品が少なくなるのだろうか?それはなんだか寂しい。
けれども存在している映画だけでもを全て観ることは不可能なわけです。それに名作と言われるものも沢山あるわけです。毎日観ても生きてる間には観きれない。これ以上、新しいものはいらないんじゃ無いかと悲観的に思うこともあります(極端な考えかもです)。
しかししかし、世の中は常に変化している(と思う)。今までの価値観では現実に立ち向かえなくなるときがあります。希望のみえない世界で、希望の光をみるためには、やっぱり新しい作品が前進するための力をくれるのだと思います。
世の中を少しでも明るい光で照らせるように、そんな気持ちで僕もペンを握っでおります。笑
ぬっきー