ねっとりとネット

ねっとりとこびりついた「ねっとり」をねっとりと、ネットへくっつけるネット。

< 上海 >スペース・コインランドリー図書室/Written by MICHIRU〜2021年7月号

 

2021年7月23日(金)、東京2020オリンピックがいよいよ開幕。

そんな、2021年7月の読書感想。

 

 

ミチル 

 

 

 

スペース・コインランドリー図書室

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今回のシンクロ・ポイントは、< 上海 >。

 

【上海】

次の2作に共通して登場する都市。 『玉蘭』/『死ぬまでに行きたい海』

 前者では様々な理由から留学してきた日本人たちが築いた偏狭なコミュニティがあり主人公が大伯父の若き幽霊と遭遇する土地として、後者では日本人旅行者たちが現地人に何でもかんでも「メイヨー(無いよ)」で片付けられてしまう土地として書かれている。

 


『玉蘭』 桐野夏生

  新天地に選んだはずの上海留学に行き詰まる主人公の前に現れる、大伯父の若き幽霊。時代や場所に関係なく脈々と営まれる人々の生活とその中に巣食う鬱屈や不安、そして克服できない病気…。過去と現在、幻と現が交錯する幽遠な物語。

 


『死ぬまでに行きたい海』 岸本佐知子

死ぬまでに行きたい海

死ぬまでに行きたい海

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 ホント(日常)とウソ(創作)の境目の曖昧さが心地よい。

ああ、海芝浦ずっと行きたいと思ってるんだよなあ、バリ島にも行きたいんだよなあ。以前、知人に初台に住んでそうって言われたなあとか、読みながら自分の中のアレコレが思い起こされる。三崎の酒合宿は楽しそうだし、地表上のどこか一点は想像するだけで切ない。

 

ぬ「上記2作品、「現と虚」が織り混ざっているようで、その点もシンクロに感じます」

 

 

その他、読んだ順。

 


『地獄星レミナ』 伊藤潤二

 伊藤潤二的ハルマゲドン&ノアの箱舟とでもいうか。

表題作の強烈さもさることながら同時収録の「億万ぼっち」が更なる強烈さで「地獄星レミナ」のエンディングが一瞬、吹っ飛んだ。笑

 


『世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる』 岡根谷実里

 アジア、ヨーロッパ、中南米、アフリカ、中東、世界16カ国の台所を紹介。

現地家庭で教わった料理レシピ13品(どれも日本で作りやすいようアレンジされている)も収録。できれば現地の料理は、現地の食材で作って、現地の気候の中で食べたい…と思いながら、読み終えた日の夕食は骨付きチキンのスパイシーなカレーを作って食べる。

 

ぬ「気持ちとか空気感とかテンションって味に大きく関わってきますよね。アメリカでは美味しかった真っ赤なグミが、帰国してから食べてみると食えたもんじゃなかった経験があります。地産地消って大事ですよね。最近は家で一人で飲むアルコールがマズいです。ぴこぴこ」

 


『ミッドナイトスワン』 内田英治

 希望は人を強くもすれば奈落にも落とす。

凪沙と一果、互いに生涯忘れ得ぬ瞬間を与え合えた2人なのに、あまりにも悲しすぎる。りんと一果の関係にしてもそうだ。凪沙とりんは一果と出会う/出会わない、どちらが幸せだったのだろうか。それでも、彼女たちの共有した時間の多くは幸せで、出会えてよかったのだと思いたい。

いつかは映画も観てみたい。

ぬ「小説あったんですね初耳学。希望に溺れてしまうことこそ絶望です」

 


『マイ・シスター、シリアルキラー』 オインカン・ブレイスウェイト

 アフリカン・サイコパス・ストーリー。

女性の著者による、見た目も性質も正反対な姉妹の物語。真面目な看護師の姉、美貌のシリアルキラーの妹。彼女たちの両親は共に毒親で、姉妹は共依存関係を止められずにいる。アフリカの景色や衣装は映像化しても映えそう。

読みやすく面白かった。

 

ぬ「シリアルキラーって男性のイメージになってました。女性のシリアルキラーの皆さん、申し訳ございませんでした」

 

アングスト/不安(字幕版)

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  • アーウィン・レダー
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『週末フィンランド~ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』 岩田リョウコ

 あるロックバンドを好きになってフィンランドが気になり始めて随分経つのにまだ行ったことがない。

コーヒーの消費量が世界一というのは初めて知った。昔ながらのスモークサウナや寝そべって眺めるオーロラ、白夜やピンクの湖。

これは行かなくちゃ。

 

ぬ「直行便で9時間半ですね。うむうむ」

 


『ジグソーパズル』 西村瑞樹(バイきんぐ)

  ご本人曰く「間違いなく、これが最初で最後の執筆となるでしょう。」とのこと。

えー、面白いのに! 端々に見え隠れするクレイジーさにしびれる。へそピアスはまだしているのだろうか…。

 

ぬ「芸人さんのエッセイはあついです」

 


『四百三十円の神様』 加藤元

 なんだかサラーっと読んでしまった。

日々生きてゆくなかで思いがけなく奇跡のようなものに出会ったり、今まで信じていた魔法が溶けたり、連綿と続く何かに気がついたり、がさりげなく書かれている短編集。

毛色が違う「腐ったたぬき」が印象に残る。

 


『余命一年、男をかう』 吉川トリコ

 小説を読んでいるとたまに、登場人物と実在の人物のイメージがかぶってしまうことがある。

今回はルックスからキャラクターまで、瀬名がEXITの兼近大樹に変換されたまま読み終える。もう彼でドラマ化して欲しい。1部が余命宣告をもぎとり(このニュアンス読めば分かるはず)男をかった女性の、2部はかわれた男性の目線で語られる。

テーマは深刻ながら、読み心地は爽快。面白かった。

 

ぬ「余命一年だと発覚したら僕は何をかうのだろうか?行動としては金髪にしよう」

 


『トンコ』 雀野日名子

 再読ながら、前回いつ読んだのかも内容も笑っちゃうくらいに覚えていなくて、ほぼ初読と化す。

「トンコ」「ぞんび団地」「黙契」の3編。どの話も、あーこんなに切ない話だったのかあ、と。怖くないホラー。

彼女たちの魂が救われることを願わずにいられない。

 

ぬ「トンコって豚子?」

 


『植物忌』 星野智幸

植物忌

植物忌

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 大抵の植物は強靭で、動物と融合すれば動物が呑み込まれるのも自然の摂理。

ああ、シャボテン公園へ行きたいな、熱帯植物園へ行きたいな、ススキの原もいいな。

とにかく植物たちに囲まれたい、とこの本を読みながら考えていると、おやテーブルの上のアボカドがやけに成長したような…。

未知との遭遇的、異色の植物小説集。

 

izushaboten.com

ぬ「夢の島熱帯植物館、デートで行ったことありますがオススメです。笑」

https://www.yumenoshima.jp/botanicalhall/

ぬ「ススキの原ってこちら?」

www.ichinoyu.co.jp

 

 

桃欲が高まる今年の夏。

桃の皮がするりと剥けるの、気持ちいい。

 

finish

 

 

▼筆者紹介▼

  • a writer:ミチル

  • 属性:Sexually fluid

  • ペット:白玉という名の猫を妄想で飼っている

 

▼ Written by MICHIRU:過去記事▼ 

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Written by NUKKI <パラサイト・コインパーキング編集部>

  記事の掲載ありがとうございました!

シンクロナイズドスイミングの名称が「アーティスティックスイミング」に変わりましたね。同調の「シンクロナイズド」から芸術性の「アーティスティック」へと。

このブログの「シンクロ・ポイント」を読んで、ふと言ってみたくなっただけで、僕にとってはシンクロでもアーティスティックでも大差はないわけでして。

とは言え、物事は突き詰めれば アーティスティックな側面が出てくると思うので、わざわざ名前につける必要もないのではと思う。なのでちょいダサに感じる。

なんだろう?「ダンシングスイミング」「コンテンポラリースイミング」「パフォーマンススイミング」らへん?

競技選手の皆さんどうでしょう?

 

次のオリンピックはもう3年後にでして、なもんで2年半後にはパリに行きたいなと思っております。オリンピック自体にはさほど興味はありませんが、活気付いているパリには興味あります。

 

まとまりのない話でした。今後とも、よろぴこ。

ぬっきー 2021/08/15/日