さて、
アンダーグラウンドから出てきた「奇譚」は現代の土に染み込んだ目に見えないリアルな養分を吸い尽くして銀色に危うく光って僕の前に現れた。そして、僕の養分になる。ひとまず飲み込まなくてはならない。
別のところにアップしていた文章だけれども都合により「ねっとりとネット」にお引越し。
ブックギャラリーポポタムへ向かうことになったのは『ひょうひょう』を購入するためだ。発売したばかり、かつ発行部数が少ないのでamazonで手に入らなかったからだ(本はほとんどamazonかメルカリで買うんだけれども)。
と言うのも『ひょうひょう』は神奈川県三崎に住む夫婦で営む「マーケティングなしで本をつくることがモットー」の出版社:アタシ社が出版しているのだ。なのでこの状況は当然である。
ポポタムでは『ひょうひょう』発売記念で原画展示が行われており、この機会は逃すべきではないと思った(2019年4月2日のこと)。
ブックギャラリーポポタム
池袋駅からほんの少し歩いた住宅街の中に、まるで自宅の勉強机で電気スタンドと頭を付き合わせて本を読んでいる姿が想像できて、賑やかな教室の端っこで本を読んでる文学生(ほとんどが例外なく眼鏡をかけている)のようにしてポポタムはあった。
サイズ感が「駄菓子屋」に似ていた。木の床や腰よりも低く、膝よりも高い2メートル四方の台がさらにそう感じさせたのかもしれない。その台をぐるりと回れば本を見渡せる心地良い広さだ。amazonなどのネット販売に押されて町の本屋さん(大型書店も含めて)は減ってはいるものの、ポポタムなどのとても小さな惑星みたいな本屋さんが増えているのはカルチャーの芽生えみたいなのを感じて嬉しい(この出会いもamazonのお陰なのではないかと思うと、なにもかも牛耳られている気もしなくも無い)。
そもそも、ネルノダイスキさんとの出会いはtwitter。と言っても、たまたま見つけてぼくがフォローしているだけ。
(twitterをやってて良いことは、個展の情報をキャッチできること。)
本屋さんの奥のスペースに展示会場があって、ネルノダイスキさんがいらっしゃった。僕はハイパー人見知りなので、ネルノダイスキさんがお客さんと会話を盗聴していた(本にサインをもらうどころか話しかけることはできなかったのだ)。
彼はいかにも絵を描いていそうなユニークなビジュアルとオーラが伝わってきた。
ひょうひょう ネルノダイスキ
丁寧に書き込まれたリアルでシリアスなタッチ。そしてその中にデフォルメされた単純なキャラクター(耳のある猫のようなつるりとしたキャラクター)。線はドライなのに画面全体はなんだか湿っている。それで、「あぁぁ、これ好き。。。。」。絵や全体の雰囲気が大好きなゲゲゲの鬼太郎を彷彿させた。
シルバーの装丁ボディはなんだか、ずうっとみてしまう。撫でちゃう。
ストーリーについて掘り下げて話そうと思えばいくらでも話せるんだろうけど、じっくりと読んで、絵を隅々まで脳内に写し込めれば楽しい。心がぐぅっと静かになって、背骨に一本のトンネルができるような感覚。何度でも読みたい。
p.s...
ブックギャラリーポポタムで本に巻いてくれた紙のカバーがとても可愛い。
それではお先に(失礼します)!!