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『アニオタとビール③(基礎知識2編)』きっしー アニオタの独り言・第五弾

 

アニオタの独り言

~アニオタとビール③
(基礎知識2編)

 

 

〇はじめに

どうも、冴えない理系オタクおじさんのきっしーです。

8月も終わり気づけば9月になっていました。

早いもので2020年も残すところ4か月しかありません。気分的には3~4月くらいの気分です。年々1年が短く感じるようになってきた27歳の初秋です。

 

さて、今回もビールの原材料:ホップについての記事になります。

拙い文章となっておりますが最後まで読んで頂ければ幸いです。

 

 

 ▼前回のきっしーの記事はこちら▼

www.netritonet.com

 

 

〇ホップについて

 ホップはアサ科カラハナソウ属のつる性(アサガオのように他の木や棒に絡まる植物)の多年生植物です。

多年生植物とは環境にさえ適応すれば植えっぱなしで毎年同じ時期に花が開花する(越冬や乾期を乗り越える)植物のこと。成長すると10mほどの高さになるそうです。

 

普段私たちが見かける花は両性花と呼ばれ、一つの花に雄しべと雌しべがあります。

一方ホップは多くの動物が雄と雌に分かれているのと同じように
雄花(図1参照)しかない株(雄株)、
雌花(図2参照)しかない株(雌株)があり、
雌雄異株(読み:しゆういしゅ)という植物
になります。 

 

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図1.ホップの雄花

 

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図2.ホップの雄花

 

※図1、図2は「札幌市緑のセンターだより 8月号」より引用 

www.sapporo-park.or.jp

 

 ビールの原料になるのは雌株に生る松ぼっくりのような雌花(球果(きゅうか)、毬花(まりばな)などと呼ばれる)であり、未受粉の雌花を酒造に使用します。

雄株が混在していると、種子ができて後述するルプリンの量が減るため雌株のみが栽培されます。

 

 

〇ホップの役割・成分について

 ホップのビールに対する役割としてビール特有の苦みや香りを与えることです。

また泡を形成し泡立ちを良くする効果もあります。

このようにビール特有の特徴を引き出すのはホップに含まれる「ルプリン」という黄色い粒であり、松かさ状に重なる葉の部分の付け根にあります(図3参照)。

 

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図3.ホップの断面図

 

ルプリンには様々な成分が含まれており、その中でもビールに影響を与えるのがアルファ酸(苦み)と精油成分(香り)です。

 

  • アルファ酸

    アルファ酸自体は水に溶けないのでほとんど苦みを感じることはありません。
    そこで酒造工程の中で熱することでイソアルファ酸に変化させ水に溶けるようにします。そうすることでビールに苦みを付与します。

    またイソアルファ酸は麦芽に含まれるタンパク質と共に泡の形成を助ける働きがあります。そのためホップが大量に含まれているビール(例えばIPA(インディアン・ペールエール)など)は泡持ちが良いです。

     苦みの表現する方法としてIBU(International Bitterness Units、直訳すると国際苦味単位)というものがあり、苦みを数値的に表します。つまりIBUの数値を見ればそのビールがどのくらい苦いかを把握することができます。
    IBUの数値は
    「ホップの使用量」
    「アルファ酸の含有量」
    「ホップの煮込み時間=アルファ酸からイソアルファ酸への変化量」
    の3つの要因
    によって苦みの程度が変わると言われています。

    例として「キリン 一番絞り」・「サッポロ エビス」・「アサヒ スーパードライ」のIBUを比較すると

    「キリン 一番絞り」:IBU=21
    「サッポロ エビス」:IBU=25
    「アサヒ スーパードライ」:IBU=16

    となり、苦い順番に並べると
    「サッポロ エビス」>「キリン 一番絞り」>「アサヒ スーパードライ」
    となります。
    ただしIBUの数値が高い=苦いとは一概には言えず、絶対的な基準ではありません。

    IBUが高い数値だったとしても、ベースとなるビールの糖度や麦芽の量によって味が左右され、数値ほど苦味を感じないこともあります。
    また、季節の変化、ビールの温度によっても苦味の感じ方が変わってきます。そのためIBUは参考程度に意識するぐらいが丁度いいです。
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  • 精油成分

    精油成分(エッセンシャルオイル)はビールに香りを付与し、ホップ由来の香りであることを「ホップ香」と言ったりします。
    ちなみにビールの香りは
    「ホップ香」
    麦芽(モルト)由来の「モルト香」
    酵母由来の「エステル香」
    の3つの組み合わせ
    でできています。

    精油成分の含有量はホップの種類によって異なりますが、精油成分は熱に弱い(揮発しやすい)ため、香りづけのためのホップは酒造工程の1つである煮沸工程の後半から終盤にかけて投入されます。

 

 

〇分類(ビタリングホップとアロマホップ)

 ホップは大きく分けてビタリング(ビター)ホップとアロマホップの2つに分けられることがあります。

  • ビタリング(ビター)ホップ
    ビタリング(ビター)ホップはビールに苦みをつけるのが得意なホップのことを指します。苦みのもとであるアルファ酸の含有量が多いのが特徴です。

    例) マグナム、ヘラクレス、コロンバス、ナゲットなど

 

 

  • アロマホップ
    アロマホップはビールに香りをつけるのが得意なホップのことを指します。ホップ香のもとである精油成分の含有量が多いのが特徴です。

    例) シトラ、カスケードなど

 

 

 

〇ビールに使用される理由

 ホップは上述したような苦み、香りづけだけでなく食欲増進、睡眠や鎮静、利尿、消化促進など色々な効果があると言われています。数あるホップの効果の中でも古くからビールにホップが使用されてきた理由として殺菌・防腐効果によるところがあります。

 

 ビール造りにホップを使用するのが主流となったのは、ヨーロッパでは中世の終わりとされる15世紀以降のことであり、ホップが使われる以前は苦味や香りをつけるために、各種の香草や薬草、香辛料などを組み合わせた「グルート」を使用していました。

ある時、イギリスからインドにビールを運ぶ際に、長期間の輸送を考慮して殺菌・防腐効果のあるホップを大量に使用したビールが造られました。これが現在でいうIPAです。

ホップを使ったビールが広まるにつれて、保存性だけでなく、香りや味わい、泡もちも、グルートを用いたビールよりも優れていることがわかりホップが使用されるようになりました。

 

 

〇まとめ

 記事を書くにあたってホップのことを色々調べてみたのですが、良い勉強になりました。よりビールが楽しめるようになりました。この記事を最後まで読んでくださった方々もよりビールが楽しめるようになったかと思います。

ビールを飲む時に少しでも今回の記事の内容を思い出していただけると幸いです。

 

 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。ビール原材料編、次回は酵母についてになります。 

 

 

 

 

筆者紹介

きっしー

  • 冴えないオタク(主にアニメ、声優)
  • 理系男子?、理系おじさん?
  • 平成4年生まれ
  • 地方の化学系メーカー勤務
  • ビール好き
  • 推し
    南條愛乃さん
    小原好美さん

 

 

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