2月は逃げる、の言葉通りあっという間だった28日間に観た映画の感想。
- スペース・コインランドリー視聴覚室
- ああ、映画館へ行きたいな。
- finish
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- Written by NUKKI <パラサイト・コインパーキング編集部>
スペース・コインランドリー視聴覚室
< 立場の逆転と、逃走と再会の景色の類似 >
今回のシンクロ・ポイントは2つ。
「立場の逆転」
・支配者と被支配者の逆転/『こおろぎ』と『キャタピラー』
前者は支配していると思っていた相手に実は仕えていたという心理的な逆転、後者は肉体的・実際的な力関係の逆転。
「逃走と再会の景色の類似」
・青い空と黄色い花々の風景/『さくらん』と『バグダッド・カフェ』
前者は手を取り合って逃げる場面、後者は舞い戻って手に手を取る場面。逃走と再会という真逆な状況での景色の一致。思えば一般的な天国の心象風景と近い気もする。
以下、視聴感想。(観た順)
汚染廃棄物でビーバーがゾンビ化。近隣にキャンプに来ていた男女6人を巻き込みパニックに。
タイトルから受けるB級感を決して裏切らないゾンビもの。DNA無視でいろんなものに感染。始まりと終わりに登場するトラックの2人組がとにかくロクでもない。
ぬ「僕も観ました。大満足です」
一部映画祭、イベント上映されただけで封印されていた幻の傑作。青山真治×山崎努×鈴木京香。
西伊豆を舞台に描かれる風土と歴史、記憶、自由、束縛、食、官能、生、死。老人を支配していると思っていたら、魔に魅入られていただけだったり。鈴木京香の立ち姿は凛としているのに、横になり目を瞑ると途端に官能的になる。不思議だ。
ぬ「封印された、とは気になります」
リチャード・スタークの犯罪小説「悪党パーカー」シリーズの映画化。
主演:ジェイソン・ステイサム。こんなに傷だらけで血まみれのステイサムは見たことがないというくらいの流血ぶり。ラテン系ジェニファー・ロペスの押しの強さに最初はなかなか入り込めない。笑
狂っているようでマトモなような彼女の母親がよい味を出している。
ぬ「ジェイステブーム続いてますね。笑 僕は最近、クロエ・グレース・モレッツにどハマりです!」
江戸川乱歩の短編小説『芋虫』をメインとしたオリジナルの物語。
日中戦争から帰還した夫は「軍神様」と呼ばれるものの、実際は四肢を失いコミュニケーションさえ取れない状態だった。支配的で暴力的だった出征前の夫と軍神様となった夫を世話する妻の力関係や性の能動と受動などの立場の逆転。『ジョニーは戦場へ行った』とは似て非なる手触りの映画。
安野モヨコの同名漫画の映画化。監督:蜷川実花。とにかく鮮やかな色彩が美しい。
吉原遊郭「玉菊屋」に売られて来た少女・きよ葉はとにかく向こうっ気が強い。誰もが憧れる花魁にまで上りつめ、大名に身請けされ吉原を出ることになっても、なお一筋縄ではゆかないのが、きよ葉(のちに日暮と改名)。原作漫画は完結しておらず、映画独自の結末では逃走を選ぶ。
ぬ「専門学校時代に観た作品」
アメリカ西部の長距離道路脇にたたずむ寂れたカフェ兼モーテル、バグダッド・カフェの物語。
砂漠のど真ん中にあるバグダッド・カフェ。その不機嫌な女主人ブレンダとドイツの田舎町からの旅行中に夫婦喧嘩をして夫と別れひとりでカフェにたどり着くジャスミン。ついさっきまでは互いの人生に無かった存在が徐々にかけがえのないものになってゆく。マリアンネ・ゼーゲブレヒトってどこか見覚えのある人だと思っていたら『シュガーベイビー』のあの人だったのね。まだベルリンの壁が存在していた時代の映画だと思うと感慨深い。
軍法違反を犯し、軍法会議から逃走している特殊部隊兵と修道女の束の間の魂の触れ合い。
ジェイソン・ステイサム主演。アフガニスタンで5人の民間人を独断で殺害した兵士、幼い頃に性的虐待を繰り返し受け相手を殺害した修道女。過去の過ちを抱える2人の交流が深まれば深まるほど終わりが近づく気配が漂う。派手なアクションはなく終始沈んだトーンで物悲しさがつきまとう。ステイサム映画に何を求めるかにもよるけれど、今まで観た彼の映画の中で最も「残る」作品。
ああ、映画館へ行きたいな。
finish
▼筆者紹介▼
- a writer:ミチル
- 属性:Sexually fluid
- ペット:白玉という名の猫を妄想で飼っている
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Written by NUKKI <パラサイト・コインパーキング編集部>
記事の掲載ありがとうございました!
↓ミチルさんのお陰でブログ書けました!!