ねっとりとネット

心、頭、体にねっとりとこびりついた「ねっとり」をねっとりと、ネットへくっつける。

Written by MICHIRU【< メタル脳 と Metallica、そして H.R.ギーガー >スペース・コインランドリー音楽室  2019年11月号】

 

映画を観るように Music Video を愉しむ。

 

ミチル

 

スペース・コインランドリー音楽室
11月号

メタル脳 Metallica、そして H.R.ギーガー

 先日、中野信子:著 『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(2019.1/30発行)を読んだ。
サブタイトルに期待の重きを置くと少々物足りないけれど、全体的には面白く読めた。

 

メタルと聞いて思い浮かべるものは人により様々だろう。
音楽だったり、芸術だったり、素材だったり。

 

私にとってメタルといってまず思い浮かぶのは、エロチック・メタリックの巨匠、H.R.ギーガー。

H・R・ギーガー - Wikipedia

 

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そして、印象的な Music Video(以下、MV が、Metallica One』。

 この曲はメンバーが観た 『ジョニーは戦場へ行った』 の主人公がモデルになっており、MVにも映画の場面を交えている。

 


Metallica - One [Official Music Video]

 

シングルCDジャケット

  

 『ジョニーは戦場へ行った』(原題: Johnny Got His Gun

 ジョニーは戦場へ行った - Wikipedia

 ダルトン・トランボが1939年に発表した反戦小説。ベトナム戦争最中の1971年、トランボ自身の脚本・監督により映画化された。

 

反戦性

 本作は第二次世界大戦勃発の1939年に発表されたが、反戦的な内容が「反政府文学」と判断され、戦争の激化した1945年、ついに絶版(事実上の発禁処分)となる。戦後になって復刊されたものの、朝鮮戦争時には再び絶版とされ、休戦後に復刊されるなど、戦争のたびに絶版と復刊を繰り返す。

 これは本書の非常に強力な反戦メッセージに、アメリカ合衆国連邦政府(特に軍部)が危機感を持っていた証左とも言える。トランボはアメリカ共産党の党員でもあり、1947年に赤狩りにあい逮捕、禁固刑の実刑判決をうけ、刑期満了後も映画業界から事実上追放された。

 

タイトル

『ジョニーは銃をとった(Johnny Got His Gun)』は、第一次世界大戦時の志願兵募集の宣伝文句で、軍歌『オヴァー・ゼア』(Over There)でも有名になった「ジョニーよ、銃をとれ(Johnny Get Your Gun)」という呼び掛けへの痛烈な皮肉となっている。

オーヴァー・ゼア - Wikipedia

 

日本語訳

(上記2冊はタイトルが異なるが、同じ原作を翻訳したもの)

 

あらすじ

 本作は2つの章からなる。

 なお、本作の語り手はジョー(ジョニーではない)で、彼自身の過去の記憶や現状など、全てが彼の「内的独白」によってのみ記述されており、一切の第3者視点が存在しない。

 

第一章「死者」

 ジョーは、徴兵によって最愛の恋人カリーンに別れを告げて第一次世界大戦へと出征する。

 しかし、異国の戦場で迫り来る敵の砲弾を避けようと塹壕に飛び込むが、目(視覚)、鼻(嗅覚)、口(言葉)、耳(聴覚)を失い、運び込まれた病院で、壊疽して機能しない両腕、両脚も切断されてしまう。

 首と頭をわずかにしか動かせないジョーは、今がいつで、どれだけ時間が経ち、自分はどこにいて、誰が近くに来ているのかを皮膚感覚で察知しようとする。一方鎮静剤を定期的に投与され、彼の意識は現在と過去の間をさまよう。恋人カリーンや戦争に行く前に死んだ父親との、実際には過去にも無かった数々の空想の出来事の世界に身を置き、そしてまた現実の「孤独」と「暗黒」の世界に戻って来る。

 

第二章「生者」

 自分には意識があることを伝えようと、わずかに動く首と頭を使って必死に訴えようとするジョー。

 しかし、彼には意識はなくただ生物として横たわっていると思っている看護婦、医師、そして軍人は、彼の頭の動きは「肉体的痙攣にすぎない」という引継ぎマニュアルに書かれている指示の通りに、鎮静剤の注射をするだけ。あるクリスマスの夜、新しく赴任してきた看護婦がジョーの胸にMERRY CHRISTMASと一文字ずつ手で書く。彼はそれを理解し応えようと頭を動かすが、彼を物体ではなく人間だという思いで接している心優しい看護婦にも、それは伝わらなかった。

 頭の中で過去の人々との交流を回想する彼に、ある日彼の父親がモールス信号のヒントを与える。そしてついに自らの意思を伝える手段としてモールス信号を使い、必死に周囲に訴えかけるジョー。心優しい新しい看護婦がジョーが何かを訴えかけているのではないかと気づき、医師を呼びに行くが、痙攣としか理解しない医師は鎮静剤を打つだけだった。

 そして数日後、軍の医師団が訪問してきた時、1人がジョーが発信しているSOSのモールス信号に気付く。ジョーに意識はなく肉体が横たわっているだけと思っていた全員が驚愕する。トップの人間が「何が望みか聞いてみろ」と指示し、部下がジョーの額にモールス信号を叩く。

 それに対して、ジョーは答える。「自分を公衆の前に出して陳列してくれ(自分を維持するにはお金が掛かる筈だから、その見物料金を充ててもらいたい)」それは出来ないと返事をすると、「では殺してくれ」と答えるジョー。あとは何を言っても、「殺してくれ」「殺してくれ」「殺してくれ」とだけモールス信号で訴えるジョー……

 

原作からの変更

 映画では視聴者の視覚に訴える必要上、第三者からの視点で描かれている点が小説とは大きく異なっている。特にラストシーンにおいて「ジョーの知りえない周りの状況を示す」ことで、小説では描かれなかった「死の尊厳」についてのメッセージを視聴者に訴えかけている。

 

 

 先の 『メタル脳』 に「現在、世界的な規模でポピュリズム政党が結成され急速にその支持を伸ばしており、その流れを断ち切れるとしたら、彼らとはちがう性質をもった人たちによってだ」という旨のことが書かれている。メタルを愛聴する人々はアンチポピュリズム傾向が強いという。

 

いつか、そんな彼らが世界を変える日が来るかもしれない。

『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』の感想に導かれて。

 

 

メタル脳 天才は残酷な音楽を好む

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HR Giger (Basic Art 2.0) 

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ジョニーは戦場へ行った (角川文庫)

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ジョニーは銃をとった (1971年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

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a writer:ミチル
属性:Sexually fluid
白玉という名の猫を妄想で飼っている

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