ねっとりとネット

ねっとりとこびりついた「ねっとり」をねっとりと、ネットへくっつけるネット。

Written by MICHIRU〜2019年11月号【< 童貞性、ポピュリズム、青 and something essence >スペース・コインランドリー図書室 】

  

  • ショートショートの名手、眉村卓氏が逝去された。
  • 黒い表紙の本との相性の悪さを乗り越えた。
  • 図書館から残念な電話がかかってきた、そんな11月。

 

 

ミチル

 

 

スペース・コインランドリー図書室
11月号

童貞性、ポピュリズム、青 and something essence

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その① 「童貞性」

女性の童貞性だったり、生粋の童貞だったり、セカンド童貞だったり、その在り方は様々。

 

『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』 中野信子

若き日の著者が纏っていた童貞性と様式美の音楽であるメタルの出合い。
クラシックファンとメタルファンの対比がおもしろい。類似特性は「創造的」「落ち着き」「内向的」、差異は「自己評価の高低(メタルファンは低い)」。世界的にポピュリズム政党が台頭しつつある現在、新たな民主主義システムをつくり上げる可能性をも秘めるアンチポピュリズムかつノンソーシャル(非社会的)傾向の強いメタルファン。日本人のメンタリティにフィットするメタル。いっそのこと国歌を荘厳なメタル曲にしてみるとか、どう?

 

 

『鉄塔おじさん』 黒木渚

24歳の女性と56歳の男性の処女、童貞喪失記。
それぞれがそれぞれの相手ではなく、けれど互いに必要としている。関係も鉄塔も、積み上げるのは遅々として慎重でも、壊れるのは一瞬であっという間。

 

 

『逆に14歳』 前田司郎

80歳に手が届きそうな同い年の作家と俳優が共通の友人の葬儀で再会。
それを機に再び交流が始まり、ひょんなことから一緒に暮らすことになり。残りの寿命を「14年はいけるな」と語り合い、そこから残り14年=逆から数えると14歳。「そしたらあれだ、俺たちは14歳の童貞だ」と盛り上がる。実に楽しそうでうらやましい(笑)著者が32歳頃の作品とはすごい。ラストシーンも忘れられない。同時収録の戯曲はほっこり。どちらもよかった。

 

 

 

その② 「ポピュリズム」

現実にも虚構にも見られるポピュリズムとアンチポピュリズムの構造。

 

前出の、『メタル脳』 中野信子

 

『ファントム・カーニヴァル』 中村樹基

終盤のバタバタ感は否めないけれど、読みやすく引き込まれた。
この手のタイプの話(ゾンビ系含む)を読むたび思うのは、取り込まれる/弾かれるのどちらが幸せなのだろうかということ。

 

 

 

その③ 「青」

青:希望、忠実、優秀といったプラスイメージと憂鬱、猥褻、陰気といったマイナスイメージの相対するニュアンスを持つ色。
そんな青という字を使った名前を持つ物語の中の人物と実在の人物。

 

Blue』 葉真中顕

篠原青。平成とともに生まれ幕を閉じた、無戸籍児にして連続殺人者。
彼の人生に絡めながら綴られる平成という時代。幸いにして戦争はなかったけれど数々の災害に見舞われ凄惨な事件も多々起こった平成。物語を読み終え、いろいろありつつも無事に生きているありがたみをしみじみ思う。

 

 

『じゃじゃ馬にさせといて』 松田青子

「言語というのは、ある意味、ただのツールだなと感じる」そのツールの有無や精度によって世界の広がりが違ってくる。
楽しそうだ。そしてNetflixのキケンさを知る(笑)

 

 

 

その④ 「something essence

SF作家の眉村卓氏が113日に逝去された。一時期集中してショートショートなどを読んでいた。眉村氏の作品とそのエッセンスを感じる作品たち。特に、眉村氏の「できすぎた子」と芦辺氏の「青髯城殺人事件」、何かの本質がそこに潜んでいる。

 

『奇妙な妻』 眉村卓

表題作ほか「ピーや」「針」「隣りの子」「蝶」「できすぎた子」「風が吹きます」など、印象深いショートショート多数。
何度読んでもアイデアの豊富さに唸らされる。

 

 

『奇譚を売る店』 芦辺拓

古書にまつわる6つの怪異。
これ映像で見てみたいなあ。神保町あたりを散策してお気に入りを見つけて、レトロな喫茶店で読み耽りたくなる。

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『レプリカたちの夜』 一條次郎

覚束ない日常、存在、世界、人間と動物の魂の堺。
一見、胎内回帰のようであり、その実、新陳代謝を繰り返しているのは記憶の方なのかもしれない。

 

 

 

その他

『ファミリーランド』 澤村伊智

デバイスで嫁を監視する姑、ブランド化するデザイナーズチャイルドと育児ハザード、次世代型婚活サイトとビジネス婚、自律型看護ロボットを溺愛する娘と母親の対決……
近未来の狂気の家族像。中でも介護がテーマの「今夜宇宙船の見える丘に」が印象深い。

 

 

『パン屋再襲撃』 村上春樹, Jc ドゥヴニ, PMGL

世界中のビッグマックを食べてみたい。
ただそれだけのために世界一周旅行をするのも面白そうだ。そういえば一時期「ビッグマックを炊飯器で炊くとウマい」っていうのありましたね。やったことないけど、興味ある(笑)

 

 

『ダチョウの卵で、人類を救います! : アトピー、新型インフルエンザ、HIVも撃墜する夢の抗体発見秘』 塚本康浩

凄いぞダチョウ! 今後掘り下げてみたいテーマを見つけた。

 

 

 

図書館からの電話
「(予約本を)長期間返さない方がいるので、おそらくこの先貸し出しができません」
というもの。
長期延滞者、とにかく早く返却して!

11月読んだ本たちの感想に願いを込めて。 

 

 

今月の図書

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a writer:ミチル
属性:Sexually fluid
白玉という名の猫を妄想で飼っている

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