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< 人生と生き甲斐 >スペース・コインランドリー図書室/Written by MICHIRU〜2021年5月号【

 

 Go To Eat ポイントやらプレミアム付食事券やらの利用期限は迫りつつも、 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などを各地で実施中の、 2021年5月の読書感想。

 

ミチル

 

 

スペース・コインランドリー図書室

< 人生と生き甲斐 >

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今回のシンクロ・ポイントは


< 人生と生き甲斐 >

 


【人生】

『春、死なん』、『死にたい夜にかぎって』、『 100日後に死ぬワニ』


 人生とか生き甲斐とか、何にでも絡められる大きなテーマではあるけれど、今回たまたま感想で重なったようなことを書いているので、まとめてみる。

 


『春、死なん』 紗倉まな

 70歳の男性(「春、死なん」)と還暦を迎えた女性(「 ははばなれ」)の生と性。どちらも、 既婚で子供がいて配偶者と死に別れている。 大人になったその先は老いてゆくだけなんて周りが勝手に思うこと 。中学生のときに高校生がやけに大人に見えたって、 自分がなれば大して変わっていないことに気づく、人生なんてそんなものかも知れないのに。

 


『死にたい夜にかぎって』 爪切男

 ここにあるのはエッセイの軽やかさではなく、 読み終わって思わず著者に(お疲れさま) と心の中で声をかけてしまうくらいの人生の重み。失踪した母親、スパルタな父親、去ってゆく恋人… 人生はままならないことの連続でも、楽しい瞬間も幸せな日々もちゃんとある、と思いたい。

それから、前から読みたいなと思っていたこの本が、ある日ポンともたらされた。これもある意味、引き寄せの法則かも。

 

ぬ「早くも読んでいただいて嬉しいです。しんどいことも噛み締めて生きていかなきゃですね。とは言え、そんなにしんどい事も起こらない人生。引き寄せは存在します」

 


『100日後に死ぬワニ』 きくちゆうき

 あっけない、あまりに呆気ない。でも先のことがわからないから人生は貴重で面白くもあるのかもし れない。つい忘れがちになる日々の些細なことも噛みしめて生きたいと改め て思わされる。

 

ぬ「 僕も生きたい。神木君に会いたい、いきものががりに歌ってもらいたい」

 

100wani-movie.com

 


【生き甲斐】

『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』


 生き甲斐については『彼女(たち)について私の知っている二、 三の事柄』に出てくる、「マリリン・モンローは、 生き甲斐がないと生きていけないなんて辛いことだ、 と言ったのだそうだ。」という一文が気になって。 永遠のセックスシンボルとも呼ばれる彼女に生き甲斐はあったのだろうか、とか。


『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』 金井美恵子

 先月読んだ『小春日和 インディアン・サマー』の姉妹編。 10年前とさほど変わらぬ長閑な暮らしのように見えても確実に変 わりゆく時代の流れ。 このまま凪いでいてほしいと思わせるラストやマリリン・ モンローのエピソードが心に残る。20年以上前の作品ながら、 終盤に登場するアレクサンドルが川崎希嬢の夫のALEXANDE Rとカブってしまう。

 

 


その他、読書感想。


『氷』 アンナ・カヴァン

 冷たく硬く絶望的で美しい。 氷に浸食され終焉を迎えつつある世界で、名前のない私、長官、 少女が織りなすパ・ド・トロワ(3人の舞踊)。 不条理も魔術的リアリズムもSFも超えた( あるいはそれらの要素をすべて含めた)スリップストリーム。

 

ぬ「ん?なんか良さそうだ要チェック」

 


『ふり返るなドクター 研修医純情物語』 川渕圭一

 前作同様、主人公に著者(パチプロ、数社の会社勤務、1年間のひきこもり生活を経て、30歳で医師を目指し、 37歳で京都大学医学部卒業後、4年間大学病院で研修医として勤務し、作家デビューした) の姿が重なる。

病院の規模にかかわらず、心無い( 患者に無関心な)医師というのは残念ながら実際にいる。そんなのからはとっとと逃げ出したほうがいい。

 


『つまらない住宅地のすべての家』 津村記久子

 一見、つまらない住宅地に住んでいるすべての家の人々( 大人も子どもも)が抱えるそれぞれの孤独や不安や屈託。単なるご近所程度の関係が、脱走した女性受刑者の逃亡をきっかけにすべての家が半ば強制的に 関わりを持つことになり…。

淡々とした前半に比べ、 後半はがぜん面白くなる。 料理を作る登場人物たちはみな料理上手でそれもまた良い。特に、笠原さんの牛すじの煮込みと揚げそば、食べたい。

 

ぬ「表紙の絵がいいですね」

 


『キッチン』 吉本ばなな

 いく度めの読み返しかわからないくらい読んでいるキッチン。3話収録されていて、1話に(最低でも)1人は人が死ぬ。

時々ふと思い出すカツ丼の話もセーラー服の男の子の話もこの中に詰まっている。音楽におけるファーストアルバムが1番好きというのに似ている。

 

ぬ「主人公(?)が料理に熱中、努力する過程が好きです(うろ覚え)」

 


『霊能者たち』 嶺里俊介

  霊を感じ取り、視覚情報へ変換できる「Cクラス(霊視)」、浮遊している霊を消すことができる「Bクラス(除霊)」、人に取り憑いた霊を取り除くことができる「Aクラス(お祓い)」 、そして、その人にしかできない技能を持つ「Sクラス」 の霊能者たちが登場する連作短編集。最終話は禁忌の総力戦。

この感じクセになりそうで、面白かった。 人でもあり鳥でもあるハルの今後が気になる。

 

ぬ「志尊淳氏(C)、岡田将生(B、A?)、平手友梨奈(S:呪い)」

 


『嵐のピクニック』 本谷有希子

 わー、これ、面白い。奇想天外、狂気、不条理、 好みの味のクッキー詰め合わせみたいな短篇集。『 嵐のピクニック』というタイトルも良いけれど、元々は「13の“ アウトサイド”短篇集」というタイトルだったとのこと。 アウトサイド好きにはたまらない1冊。

 

ぬ「アウトドアとは違うんですよね?アウトサイド≒アウトロー(?)」

 

 

 

髪を切りたいけど、まだヘアサロンでマスクは外したくない。
そういえば以前、 流しの美容師が街角で髪を切る話を読んだことがある。
ヘアカット・アウトサイド、魅惑的。

 

 

finish

 

 

▼筆者紹介▼

  • a writer:ミチル

  • 属性:Sexually fluid

  • ペット:白玉という名の猫を妄想で飼っている

 

▼ Written by MICHIRU:過去記事▼ 

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Written by NUKKI <パラサイト・コインパーキング編集部>

  記事の掲載ありがとうございました!

 

晴れている時のアウトサイド・ヘアカットは確かに気持ちが良さそうです。

風が強く吹いていたり、人通りが激しいところでジロジロ視線を感じながらは嫌ですが。

3年くらい同棲している彼女に狭いベランダで髪を切ってもらいたい。夏の終わりにビールを飲みながら、蚊取り線香を焚きながら、汗をダラダラかきながら。切り終わる頃にどこからか花火の残響が聞こえ始める夕方。最後にバシャリと水を頭からかけてもらいたい。

 

 

「生き甲斐がないと生きていけないなんて辛いことだ」

へぇ、マリリン・モンローはそんな事を言ったんですか。

そう言ったということは彼女は生き甲斐を持たない主義だったんだろうか。

もしくは生き甲斐はあるけども、それに沿って生きることがしんどくなったのだろうか?

けど、きっとその言葉には前後の文脈があるはずだから、あまり深く考えないようにしよう。

 

僕にとっての生き甲斐は

・楽しい時間を過ごす。

・目の前の人と楽しく良好な関係を築く。

・よく寝るために今日も動く。

基本方針は「すべては設定プレイの最中なんだから楽しんだもん勝ち」

です。

 

ぬっきー